「協力隊に新卒参加はいいの?」に対する私の答え

 

先日、JICA山梨主催のオンラインイベントに登壇させていただく機会をいただきました。
そこで、大学生から以下のような質問をいただきました。

「新卒か、一度社会に出てから協力隊に参加するかで悩んでいる。どちらがいいか?」

この種の質問は頻繁に受けます。
私も、「協力隊行きたいけどスキルがない」と言って新卒参加を諦め、一般企業へ入社していく人を何人も見てきました。
その決断は、当人なりに現地の人のことを考えた結果でもあると思うので、私は100%尊重したいし、正しいと思います。

また反対に、「新卒でもできることはある」と言って意気込んで飛び込む仲間も多くいました。
私もその中の1人です。
その判断も、私は間違ってはいないと思います。

実は、「新卒で協力隊参加は良いのか?」をめぐる議論は、協力隊の間でも頻繁に上がります。
これらかも制度が変わらない限り続くのでしょう。

この記事では、その問いへの一つの考える道筋を導きたいと思います。
ですので、想定している読者の方は主に大学の学部生になります。

結論:新卒協力隊参加は「良い」のか?

 

私の考えを先に述べます。

新卒で協力隊に参加するのはどうか?と訊かれたら、私は「やってみたら良い」と答えます。
しかし、どこかで自信がないのなら「やめておいた方がいい」「今ではないかも」と答えます。
ずるいですが、「結局は自分次第」です。

「思い立ったが吉日」「善は急げ」なんていう言葉があります。
何事もやる気やエネルギーがあるときに最高のパフォーマンスを出せるのだと私は思っています。
これは、協力隊に限る話ではありません。
語学の習得、海外旅行、資格試験への挑戦、筋トレ、なんでもそうですが、「不安」や「できない理由」を探しているうちは、喩え能力的には問題がなくても効率的に成果を生むことができません。時間と体力を浪費し、思い悩んでしまうかもしれません。

では、「やる気」や「エネルギー」を持つためにはどうしたらいいのでしょうか。
私は、そこには明確な「目的」「意志」が必要なのだと思います。
それらが心の中にしっかりあれば、新卒と社会人の差はあまりないというのが私の観察から導かれた答えです。
以下に少しだけ詳しく述べます。

新卒が活動するために必要なものは「目的」と「意志」

 

実際のところ、明確な目的や意志を持って協力隊に参加する人は少数派です。
根っからの国際協力志向の人なんてそんなにいません。
多くの人は協力隊に「何か」を求めて参加しているのです。
JICAも協力隊事務局もそれで良しとしています。

また、「きっかけ」という漠然としたものを求めてくる人も相当数います。
その人たちはほとんど、新卒よりはるかに年上の人達です。
JICAとしてはそのスタンスも認めているということです。
私も別にいいと思います。

ですが、自分でもわかっていない「何か」や「きっかけ」を得るために挑戦するのは日々暗中模索となり、コストがかかります。
周りの隊員が頑張っている中で(または、頑張っていなくても成果を出している)、自分は他のことに気が散ってしまい、活動場所にいる理由がわからなくなります。(そうなると「旅行隊員」なんて言われることもあります

協力隊はボランティアといえど仕事で、それなりに過酷です。
そうなると、苦しくなってしまうのは自分です。

これは私の意見ですが、自分でもわかっていない「何か」や「きっかけ」を得ようとしてくる新卒隊員には、2年間は非常に辛いと思います。

社会人経験がある方にはスキルと経験が備わっており、明確な目的や意志がなくても、ボランティアとして何かしらの貢献はできます。そうなると、存在意義を見出すことができます。
そしてやはり経験がある方々は、一喜一憂することなくどっしり構え、冷静です。
またビジネスセンスや対人スキルを社会人経験者は既に持っています。

一方で、新卒の人は、「そこに存在しているだけで活動ができる」ことはないです。
活動をするためには、持ち前の体力を使って、現場で情報収集をし、慣れないコミュニケーションをとり、頭と体をフルで動かすタフさが求められます。
そのために必要なのが、最初に述べたエネルギーです。

残念ながら、私たち新卒隊員は、「存在しているだけ」では何もできません。存在だけしていると苦しくなります
ボランティアとして、「何か」や「きっかけ」を求めてきたのにそれがなんなのかわからないまま何もできなくて、居る意味がわからなくなり、最終的には「私がいなくても現地の人はちゃんと活動している」とか、「私にはできることがないから現地の人に申し訳ない」となって、「任期短縮したい」とか、「国際協力は自分には向いていない」になってしまいます。
ですが、それも一つの学びと言ってしまえばそれもそうです。

新卒参加者は、協力隊活動に求める価値を明確に

 

さて、「新卒参加者は、目的や意志がないと協力隊の活動中に存在意義が見出せなくなって苦しくなってしまう」というようなことを上で言いましたが、実際のところこれに当てはまる人は少ないと思います。

新卒参加者は、最初から暑苦しいくらいの想いを持っている人が多いからです。
だって、「新卒バリュー」は就活で有利に働くケースが多いし、親も心配するにもかかわらず、あえて協力隊に参加しようとするということは、「国際協力をしたい」という目的意識がある程度強く心にあるからなのでしょう。

協力隊の任期の間に得たい「何か」が明確になったときに参加するのが、最良のタイミングなのではないでしょうか?

その「何か」は、自分のためでもいいのです。というより、自分のためのもののはずです。

協力隊活動は、最初に比較対象にした海外旅行や語学習得、筋トレとは違います。
違う点は、言うまでもないですが、「相手」が存在することです。
それも、何かしらの期待を寄せてくれる相手です。

外交官が使う緑のパスポートを渡され、日の丸を背負って任国の人とともに協働します。
途上国でのボランティア活動は1人で完結するものではありません。
そこが、国際協力の世界を目指す真面目な大学生にとっては重くのしかかり、悩むポイントにもなるのだと思います。

ですが、あまり気負う必要はないです。
「何かしてあげないといけない」と考える必要はないのです。
任地のことを誰よりも知っている人は、任地の人です。
一緒に活動する人からたくさん教えてもらいながら、一緒に頑張ることが、何より大事なことなのではないでしょうか。
毎日七転八倒だとは思いますが、そこから探したかったものが見えてくるのだと私は思います。

まとめ

 

短いですが、この記事をまとめます。

  • 「新卒参加がいいのか」の答えは究極的には「自分次第」
  • 新卒の場合は、「やる気」や「エネルギー」が必要
  • やる気やエネルギーのためには、「目的」と「意志」が必要
  • 「目的」や「意志」が明確でないと、現地の人の役に立てないと感じてしまい、苦しくなる

もう一度、「協力隊で何をしたいか」考えてみてください。
その答えが出てきたのなら、ぜひ頑張ってみてください。
応援しています!

 

 

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