筋トレは環境に悪い?

こんにちは。

(長くなってしまいましたので、この記事は2部構成にしたいと思います)

私は中学からスポーツをやっていて、高校時代から筋トレは私生活ルーティーンの一部です。
ルーティーンと言っても、毎日するほどではないのですが。
おしゃれなカフェでコーヒーを飲まずにはいられなくなったり、時々どうしようもなくこってり系ラーメンが食べたくなったりする、あの感覚に似ています。

先日、Inbody 430で測定したところ、身長168.5cm、体重67kg、体脂肪率11.4%と出ました。
ボディビルダーや大会出場を目指している筋トレガチ勢とまでは言えませんが、体脂肪率一桁も目前であり、それなりに結果を出していると言えると思います。

最近、周囲に筋トレを始める人が増えてきているなと感じます。
テレビや書店の店頭なんかを見ると、その現象は私の周辺だけでなくて、社会全体的に空前の筋トレブームがきているようですね。

ネット上で筋トレを調べると、その方法やらメリットやらの情報が溢れていて、どれが正しい方法なのか分からなくさせるものも多いです。健康ブームに乗っかってサプリやらダイエットにまつわる商売も繁盛しているのではないかと想像します。
調べてみたら、パーソナルトレーナーなんていう仕事も今は稼ぎの良い仕事のようです(僕も仕事に困ったら資格とってみようかな)。

他方で、昨今の健康・運動ブームは、筋トレに限ることではありません。
ヨガやランニング、登山等に勤しみながら、健康管理を図っていこうという大きな動きがあると思います。
私も、コロナの自粛の際はジムにもいけないので腹筋ローラーと自重トレーニングで運動不足ストレスを解消していました。

 

先に私の立場を表明しておくと、私は、社会の健康への関心が高まる動きはとても良いことだと思います。
自分の健康を考えることは、社会や環境とのつながりを考える第一歩になると考えるからです。
また、体の健康は精神衛生上も大切であり、対人関係を良好にするためにも有効であるはずです。

でも、果たして本当のところ、筋トレはそんなにいいことなのでしょうか。
今回は批判の目で筋トレをみてみました。

筋トレは本当に「素晴らしい」のか

 

この記事では、スポーツ選手でもないのに闇雲に筋トレすることが美化されている現象に『?』を提示したいと思います。

筋トレすると「仕事がうまくいく」「モテる」「自己肯定感が上がる」「自己管理能力が上がる」「健康になる」「忍耐力と達成力がつく」などのメリットばかりが強調されがちであり(そんな本やブログがたくさん出回ってます)、社会的なブームもあってか、筋トレをしている人がなんだか「意識が高い」みたいな見られ方をするようにもなってきている気がします。

筋トレは果たしてそのような「人生を成功させる秘薬」となり得るのでしょうか。

以下で個人的な視点から見ていきたいと思います。

この記事では、「筋トレ」を「筋肥大や美ボディを達成させることを目的とした、私生活からみたら過剰なトレーニング」としたいと思います。

筋トレとエネルギー

 

理論上、筋肥大(筋肉を大きくさせること)を達成させるためには、「吸収エネルギー>消費エネルギー」を常に維持しなければいけません
よって、筋肥大するためにはトレーニングだけではその目的は達成できないため、筋トレはその後の食事とワンセットとして考えられます。

また、筋トレをして筋肉量が増加すると、体重も増え、基礎代謝量(1日、生きているだけで消費するエネルギー)も自然と上昇します。つまり、筋トレをすると、黙っていても、生きているだけで消費するエネルギーは増加していきます(これによって、ダイエットができます)。
筋肉が細くなり痩せていくことに歯止めをかけるためには、消費量と同等またはそれ以上のエネルギーを吸収し続けなければいけません。

【(参考)基礎代謝量の算出式】
男性
66+13.7×体重(kg)+5.0×身長[cm]-6.8×年齢=1日の摂取カロリー目安(kcal)

女性
665+9.6×体重(kg)+1.7×身長[cm]-7.0×年齢=1日の摂取カロリー目安(kcal)

これは、乗っている車を軽自動車から大型トラックに段階を踏みながら乗り換えていく過程で必要になるガソリンの量に例えるとわかりやすいと思います。
つまり、車の車体の大きさに当たる体のサイズが大きくなるにつれて、当然、燃費(エネルギー効率)は悪くなっていくので、体型を維持またはさらに強化するためにはたくさん食べ続けることが必須です。

ここで、「エネルギー(身体という車に対して必要なガソリンに値するもの)」が何かを、もう少し厳密に考えてみましょう。

筋トレと食事

 

エネルギーとは、「たんぱく質・糖質・脂肪」を差します。
小学校では三大栄養素と習いました。

筋肥大には、この三大栄養素をバランスよく摂取することが必要です。

一般的には、筋肥大を目的とした場合の筋トレ後の食事メニューは、「たんぱく質:糖質:脂肪」=「3:6:1」が良いとされています(これをPFCバランスと言います)。

ここではあまり栄養学的な話はしませんが、筋トレの専門サイトによると、筋肥大を目的とした筋トレの場合、体重1kgあたり2〜3gの純タンパク質が一日に必要とのことです。

例えば、私の体重で具体的に考えてみます。

67kgの体脂肪率11%の場合、脂肪を除いた体重は59.6kgです。

筋肥大をさせたい場合、筋トレ後の必要な純タンパク質量は、59.6×2〜3(g)=119.2〜178.8(g)となります。
純たんぱく質量は、実際の食品から水分等を除いた乾物重量なので、食品(肉)に換算すると、5倍の596〜894(g)(1gあたりのカロリーを4kcalとすると、476.8〜715.2kcal)となります。

また、筋肥大を効率的に行うためには、タンパク質の二倍の炭水化物が必要になります。
これはつまり、238.4〜357.6(g)(タンパク質と同様に、1gあたりのカロリーを4kcalとすると、953.6〜1430.4(kcal)です。

同時に、PFCバランスより、最適な脂肪の量は、39.7〜59.6(g)となります。

つまり、私の場合、筋肥大を目的とした筋トレ後には、それぞれの最大値をとってみると、178.8gのタンパク質、357.6gの炭水化物、59.6gの脂肪を摂ることが理想的とされているのです。

この三つを考えるのは複雑なので、タンパク質に代表させてみます。
178.8gのタンパク質を摂取するために必要な分は、肉にするとおおよそ894(g)です。
これを、筋トレする人がみんな大好きな、セブンのサラダチキンにするとなんと、8個分に相当します。

筋トレは環境に悪い

 

ここで、ウォーターフットプリントを考えてみます。
これは、モノやサービスを消費する過程で使用された水の総量を計る概念です(参考)。

アニマルライツセンターのまとめによると、鶏1kgあたりに消費された水の量は約4325Lです。
この値を用いると、サラダチキン8個のために消費された貴重な水は、3867Lにもなります。

以上をまとめると、私の場合、筋肥大を効率的に進行させるためには、筋トレをした後に894gの鶏肉を食べることが必要で、それはつまり貴重な3867Lの水を消費する行為であるということです。

ウォーターフットプリントと同様に、温室効果ガスをどれだけ排出したかという、カーボンフットプリントという概念もありますが、ここでは似たことなので割愛します。

ここまで私が言いたいのは、筋肥大を目的とした筋トレは、その後の食事摂取とワンセットになっていること、そして、摂取されるタンパク質に代表される三大栄養素が生産される過程では、莫大な環境負荷をかけている可能性があるということです。

 

一方、多くの人は市販のプロテインに依存した筋トレをしており、そんな方は「プロテインだから環境にやさしい」と思うかもしれません。
しかし、こちらについても同様で、一般的に使われる「ホエイプロテイン」は、牛乳からチーズを作る過程でできる副産物を加工したものです。
牛乳1Lのウォーターフットプリントは、1020Lとのことですが、プロテインの工業的生産過程と、その後の搬送(プロテインのほとんどは外国製なので長距離の輸送が伴う)によってカーボンフットプリントと共に値は大きくなるはずです。

環境負荷を抑える筋トレのしかた

 

筋トレ信者の多くは、肉とプロテイン摂取が筋トレ生活の一部です。
そのエネルギー摂取なくして筋トレの目的は達成されないからです。
逆に言うと、筋トレしているのに体型に変化が現れないのは食事に原因がありそうだと言うことができます。

そこで、生産・流通・消費までにかかるエネルギーがなるべく小さい(=環境にあまり負荷をかけていない)ものを吸収できれば、この記事でみてきた筋トレのデメリットを軽減することができます。

それは、エネルギー源を植物由来にするということです。

私がモデルにしているジョン・ヴィーナスは、ヴィーガンのボディビルダーです。
ヴィーガンですから、肉や魚だけでなく、卵や牛乳も摂取していません。
(リンク先の彼のインスタを見てみて下さい。この削ぎ落とされた美しい筋肉を)

また、市販のプロテインの中にも大豆で作られたものも多く存在します。
具体的な例として、私が最近試してみたものを以下に掲載しました。

まとめ

 

本記事では、筋トレが美化されることへの疑問点として、その環境負荷の面について書きました。
本来であれば、人間は必要なエネルギーだけあれば生きていけるわけで、余分な筋肉や脂肪は「必要ない分」のエネルギーです。これを蓄えられるということは、その分、外部エネルギーを我がものにしているからに他なりません。

地球は、物質面は閉鎖的ですが、エネルギーは太陽によって日々降り注がれています。
しかし、そのエネルギーの分配は全ての生物や人間に対して公平であるとは全く言えません。

「筋肉のため」に食べたそのサラダチキンすらも食べられない人がこの地球にはたくさんいるわけです。

「筋トレ」の営みは、こちらも欧州で最近ブームになっているヴィーガンやベジタリアンの思想と対局にあり、今後筋トレという行為そのものが環境保全を訴える方々から非難の対象になる可能性もあると考えます。

私は、まずこれまで使っていた動物由来のプロテインを辞めることからはじめました。
まだ、ヴィーガンになる覚悟はできていないので、徐々に環境にやさしい、エコなマッチョを目指そうと思います。

次回の記事では、その他の筋トレのデメリットについて書きたいと思います。

(本記事で書いた内容に間違いがある場合は、ご指摘いただけると幸いです。)

 

 

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