初めてデモに参加したら思いの外楽しかった話

「デモ」と聞いたら読者の方はどんなイメージを思い浮かべるだろう。
私は、なんとなく意識が高そうで「普通の人」とはちょと違った過激な人たちが参加するもので、少しだけ暴力的な怖いイメージがあった。
学生のデモといえば、グレタさんの影響を受けて世界で活動している学生のボイコット運動や、日本では2015-16年に首都圏で活動した学生団体SEALDsを思い出す方も多いかもしれない。
政治デモとしては今香港がデモから発展して大変な状況になっている。

私の中のイメージでは、デモは先頭で拡声器を持った過激そうなリーダーが荒々しく自分の考えを主張し、多くの人がそれについて行きながら練り歩いているものだ。
そんなイメージがあったから、SEALDsの時も私は遠くから冷ややかな目で見ていた気がする。

2019年11月29日、日本政府への温暖化防止へのより具体的な取り組みを求めるデモ「グローバル気候マーチ」に参加した。
これが私にとって初めてのデモへの参加だった。

「デモ」は、デモンストレーションの略で、示威運動とか、示威活動とかといって社会運動の一種らしいが、示威はなんなのかというと、「気勢や威力を人に示すこと」を言うらしい。
やっぱりなんとなく平和的に聞こえない。

29日私は緊張しながら一人で集合場所に行ってみた。
そしたら、それこそ老若男女色々な人が目についた。

おそらく会社帰りのネクタイを締めた会社マン、何度もデモに参加しているような風格を漂わせる自前のプラカードを下げたおじいさん、環境に合わせて赤ちゃんと一緒に全身緑コーデをしてきた外国人ご夫婦セーラー服の女子高生、デモ行進大丈夫なの?と思わせるくらいご高齢なおばあちゃん、そしてどこにでもいるような陽気な若者たち。全体の四分の一くらいは外国人だったと思う。
拡声器を手にして先頭を歩くのは、背の小さい見るからに軽そうな女子大生だった。

一つの「地球温暖化」という問題で繋がった、多様な人たちがそこにいた。
暴力的そうな人は一人もいなくて優しそうな人たちばかりだった。
でも眼差しはやっぱりみんなどこか真剣で熱かった気がする。

不思議だった。その空間には僕もすっと入っていけたのである。
気がついたら横にいた初参加の人と仲良くなっていて、一緒に京都府内を1時間程度行進した。

終わってみての感想は意外にも、「なんか、楽しかった」である。

楽しかったのはなぜだろう?と終わってから考えてみた。

僕が思うにおそらくそれは、普段街頭で騒ぐように大きな声を上げることなんてしたことがないから変にスッキリした、要はカラオケ効果があったのかもしれない。
または、一緒に行進した人たちもきっと自分一人では何にもできないけど誰かと力を合わせようとしているんだなという共同体の意識を感じられたからかもしれない。ライブに行ったら味わうだろう気持ちに近いかもしれないし、異国の地でバックパッカー旅をしていてようやくたどり着いたゲストハウスに入った時のような気持ちかもしれない(私はライブ経験がないのでわからないが)。
それとも単純に京都という観光客が大勢いる中警察に誘導されながら注目されるのが楽しかっただけかもしれない。

デモでは歩きながら先導に合わせてコールをするのが一般的らしい。
今回はこんなコールだった。

What do you want? ー Climate Justice!
When do you want it? ー Now!
自然エネルギー? ー 100%!
ええやんええやん ー パリ協定!
ゴミを減らそう! ー ゴミを減らそう!
節電しよう! ー 節電しよう!
気候を変えず ー 自分が変わろう!

「ええやんええやん」のところが京都らしくて言っていて楽しかった。

私は別にデモをしたから地球温暖化が止まるとも、世論がすぐに動くとも思っていないし、デモがこれまでどう政治や社会に影響を与えてきたのか全然知らないので、その意義みたいなものは今すぐには語れない。

でも、みてくれる人は必ずいると信じている。
運営を務めているFFF京都の大学生・高校生たちは、京都府へより具体的な対策を求めようとしているが、交渉するたびに話はわずかずつ前に動いていると感じているとのことだった。

海外では権利主張をするのが当たり前だけど、日本にはまだその文化はあまり受け入れられていない。
デモしている人を見て、冷たい目で見る人が大半だとも思っている。

ただ、参加して見ると思いの外楽しいので、もっと身近に感じられる主張方法になっていい気がする。

少なくともSNSやネットでの陰湿な言葉の暴力の浴びせ合いよりよっぽど清々しいし、私は今回の参加を通してデモ参加者にとても好感を持てるようになった。

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